群青
「ま。久々にあの子の顔見れてよかった、あんた。ちゃんと南を守ってやんなよ?」
「……わかってるさ」
「頼もしいねぇ」
そう言うと母さんは僕の部屋から出て行った。
さっきまで彼女が座っていた場所を見る。
何もない。座っていた痕跡さえ何も。
当たり前ではあるけれど。
……八幡は、本当にやるのだろうか。
ついさっき僕の目の前でひけらかしたあの計画を。
結局、僕は最後まで「協力する」とは言わなかった。
今度こそ守る。とか言っていたのに、僕は何もしていない。
八幡を説得することだって出来ていない。
それどころか話し合うことさえ出来ていない。
八幡を救えるのは僕だけなのに。
……明日、ちゃんと八幡と話そう。部活を休んでも。
きっと名取が面倒くさいだろうけど、僕が出来る最善をやろう。
★ ★ ★