群青



「ま。久々にあの子の顔見れてよかった、あんた。ちゃんと南を守ってやんなよ?」


「……わかってるさ」


「頼もしいねぇ」


そう言うと母さんは僕の部屋から出て行った。


さっきまで彼女が座っていた場所を見る。


何もない。座っていた痕跡さえ何も。


当たり前ではあるけれど。


……八幡は、本当にやるのだろうか。


ついさっき僕の目の前でひけらかしたあの計画を。


結局、僕は最後まで「協力する」とは言わなかった。


今度こそ守る。とか言っていたのに、僕は何もしていない。


八幡を説得することだって出来ていない。


それどころか話し合うことさえ出来ていない。


八幡を救えるのは僕だけなのに。


……明日、ちゃんと八幡と話そう。部活を休んでも。


きっと名取が面倒くさいだろうけど、僕が出来る最善をやろう。




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