群青
「うん、ありがとう。やっぱり」
「僕が優しいのは僕が一番知ってるから」
あえてみーちゃんに被せてみた。
ただの嫌がらせだ。他意しかない。
やや不快そうなみーちゃんだが、とりあえず華麗にスルーしておいた。
「で。その理由は?」
「理由、言わなきゃやっぱりダメ?」
「当たり前だ」
「むー」
みーちゃんは、まるで嫌いな物を食べてるみたいに無意味に口の中をもごもごさせる。
そんなに言いづらいことなのか?
左右に忙しなく動き回る視線。まるで落ち着きはない。
それから数分経っただろうか。
「そんなに言いたくないのか?」
みーちゃんは静かに、ゆっくり頷いた。
「でも、……うん。ごめんね、夏君。でも、大丈夫だから。ちゃんと、言う。説明するから」