花かがり【Hana Uta】

┣ エンゼルランプ

― エンゼルランプ ―


白夜にも似た街は
月灯りに照らされ
ただ キラキラと 凛としていた
一瞬 夜明けなのかと
錯覚しそうになる 天使の街

春だというのに 夜は肌寒く
細く しなやかな躰を震えさせ
あなたは 凍える掌で
何度も 何度も
冷たい躰を 撫でていた

薄ピンクの肌は いつの間にか
透き通る 白へと変わり
私に頼りなく 寄り添う

濡れた花びらは はらはらと
肌へと 舞い落ち 深紅に染まる

強く抱いているのに
抱き締めても 抱き締めても
逃げゆく あなた

私の腕から するりと
儚く消える
うたかたの夢

この世が 地獄でも
この世の果てでも
どこまでも あなたを守りたい
どんなことをしてでも
命を賭け 守ってゆくよ


だから もう 泣かないで…




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