2人だけ




あの紙のことは話さないで、隠すことにした。




きっと、なにか理由があって彼はわたしに嘘を吐いているんだ




そう思っていたかった。





「自分の名前も知らないなんて可笑しいと思ったんです」



「そっか、」




パイプ椅子がギシギシと音をたてた。
彼がふいに立ち上がって部屋で唯一のクローゼットを開ける






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