2人だけ
「深瀬さん!ややこしくなるって、、」
病室をそっと抜け出してから深瀬さんは足早に清潔感漂う白い廊下を進んでいく
たまに後ろを振り返れば、わたしがちゃんと付いて来ているのを確認している
「遅い。もっと早く歩いて」
「待って下さい! わたし全然訳がわからなくって」
吐き気がするぐらいにだるい感覚がした。
目覚めた時からリハビリをしていない為に早く歩くのが少し難しいし、すぐに息が切れてしまう事をすっかり忘れていた自分が悪い。
とうとう悲鳴を上げたわたしの身体は壁に背中を預けて座り込んでしまった。
「ごめん、無理させ過ぎたな」
「深瀬さんは悪くないですから 」
慌てて弁解すれば「ありがとう」と何に対してのお礼か分からない感謝を言う彼が不思議に思った
「ちょっと此処で待ってて、すぐ戻るから」