ジュリアン
「愛は時に残酷」
この言葉は今の光景に相応しいわ。
右手のナイフを私に向ける彼
その彼に微笑みかける私
この後のシナリオは大抵予想が付くわ
彼が私を抱き締めて、私の名前を呼ぶ。
そして私たちは深いキスを交わす。
それがきっと最後ね
「ジュリア・・・」
ほらね、予想通り。
彼の手が私の頬を伝い、
強く私を抱き締める。
「もう少しで楽になれるから・・・」
そう呟きながら私にキスを落す
まるで映画のワンシーン
でも差し詰め「助演女優賞」って所かしら。
ほら、もう 高鳴る口角。
彼の手の力が抜けて
握っていたナイフが力なく床に落される
私 は こ の 瞬 間 を 待 っ て い た の 。