殺人カメラ
「…そう…よね」
「そうですよぉ~はい!コーヒー」
「ありがとう…」
「いえいえ、ちょっとトイレ行って来ます」
「分かったわ」
彼女がリビングから出ていってから私はコーヒーを飲もうとした。
「あっ…」
コーヒーを少し金魚鉢にこぼしてしまった。
「あら…どうしましょう」
しばらく金魚を見つめていると金魚が水上に上がってきた。
そして、私はすぐに立ち上がり逃げようとした。
コーヒーには毒が入っていたのだ。
逃げようと振り向いた先には「彼女」が立っていた。
「どうしました?せーんせ?」
「彼女」は笑顔で私を見つめた。
…笑顔ではない、ただ歯をむき出しにしただけだ。
「いやっ…あの用事を思いだしたから帰るわね…」
「…はい、分かりました」
…あれ…素直に帰すの?
「お気をつけて」
ガチャン
…いつもの美里だった…。
やっぱり私の思い違いだったのかしら。
あのコーヒーだって金魚には毒かもしれない。
「簡単に疑うのはよくないわよね…」
そうつぶやき足早に「彼女」の家をあとにした