殺人カメラ
「先生っ?!」
病室のドアを勢いよい開けた。
「ドアはゆっくり開けてください。患者さんが驚くでしょう」
看護婦は鋭い睨みを利かしたが、患者さんに振り返る頃には天使のような笑顔を見せた。
「美里さん…どうしたんですか?」
看護婦にすまなさそうな視線を送る。
「どうしたではありませんっ!先生が病院にいると聞いて急いできたんですっ」
阿部先生は不思議そうに首を傾けた。
その後すぐに気付いた様子で頭をあげた。
「櫻井先生ですね?」
「はい」
先生はフッと笑った。
先生が笑うとずっと張り詰めていた緊張がほぐれた。
「はぁ……」
私はその場にペタンと座り込む。
「えっ?!どうしたんですかっ」
ベッドから飛び起きようとする先生を手で止めた。
「大丈夫です…ちょっと…安心しただけですから」
「美里さん…」
阿部先生まで両親のように死んでしまうと思ったから…。