元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~
阿紗子と話しているうちに、実は先程まで自分が緊張しているのだと実感した。
それが彼女によって溶けていき、安堵へと姿を変えていく。
だが、その安堵も束の間であった。
「お前らよく喋る実習生だな。」
あたし達は振り返る。
そこには見覚えのある男がいた。
「…戸田先生、お久しぶりです。」
あたし達が高校二年生の時の担任だ。
生徒からの支持率0%の体育教師である。
貧乏籤を引いたと落胆したあの始業式の日を思い出した。
老けた、以外はあの頃とちっとも変わっていないように見える奴は、きっと今も支持率0%なのだろう。
「久しぶり。
元気そうじゃねぇか。」
「戸田先生も相変わらずお元気そうで。」
阿紗子は作り笑いで言った。
「お蔭様で特に病気もせずにこの通り元気だ。」
戸田は笑っていた。
そして言ったのだ。
「教育実習の担当は俺だからな。
何、大丈夫だ。
優しくしてやるから。
とりあえず職員室の奥にある第二応接室に行け。」
戸田はやはり笑っていた。
そして戸田は職員室に向かい、あたし達は第二応接室に行った。