元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~


第二応接室のドアを開けて明かりを付けると、あたしの荷物とメモが置いてあった。


あたしはソファに腰掛け、テーブルの上にあるメモに目を通した。


筆跡から、書いたのが阿紗子である事が分かった。


『妃奈へ
もし熱中症だとしたら、命の危険にも繋がる事だから無理はしないでね。
体調が悪ければ、明日は絶対に休みなよ。
万が一妃奈が体調崩してまで学校来たら、北条先生が許そうともあたしが家まで連れて帰るからね!
なんて、冗談みたいに聞こえるかもしれないけど、あたしも太一も妃奈のこと本気で心配してるんだから、体の言う事にはちゃんと耳を傾けてね。
お大事に。
阿紗子』


あたしは阿紗子からの手紙を半分に折ると、それを鞄の中にしまった。


本当に皆に迷惑をかけてしまったんだ。


仮病同然なのに。


あたしはさっさと着替えを済まし、鞄を持って部屋の明かりを消した。


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