元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~


一週間の間で学べた事はきっとまだまだ少ない。


働く事、教師として生きていく事…確かにこの一週間、現場の中で沢山の先生と過ごしてきた。


だけど、あたしの一週間と先生方の一週間は同じではない。


あたしの一週間は彼らに比べたら遥かに楽だ。


責任を取らなければならないような事はまだしていないし、他の教育関係者や保護者とも関わっていない。


赴任先の学校では、イジメや不登校といった生徒の精神的な問題から派生した問題だってあるのだろう。


それらは本当に大変なことだけど、それらを全てこなして、初めて教師になれるんだと思う。


「教師になって、少しでも生徒の手伝いをしたいです。」


あたしはそう言ってまた手を動かした。


「滝沢、」


「はい。」


「滝沢なら、本当に生徒の為に動ける先生になれると思う。」


彼は手を止めた。


あたしもつられて手を止めた。


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