元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~


「はい!」


「ぼーっとしない!」


「すいません!」


あたしがそう言うなり、彼はあたしに段ボール箱を渡した。


「あとこれだけだから。」


「はい。」


受けとった段ボールが重く感じられた。


そしたら歩くのも遅くなってしまった気がした。


チクリと、縫い物の小針で刺したような痛みが心に広がる。


大したものではない。


無視出来る範囲だし、寧ろ何となく痛いような感じがする、という程度だ。


だが、例えば歯が痛いような気がする時は虫歯の可能性が高い。


それと同じように、心は何かに侵されていた。


あたしは先程のシーンを思い出す。


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