元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~
「滝沢…」
どれだけの間そうされていたかは分からないが、二人の間に距離が出来た。
でも彼はまだ階段を下りる事はしない。
まるで動けないかのように止まっている。
「北条先生?」
明らかにいつもと違う。
あたしは急に恐ろしくなった。
全く知らない表情をしているわけではない。
「あ、あの!」
急に右側の二の腕を握られた。
逃げなきゃ、本能でそう悟った。
でも体は何故か硬直してしまっていて動けない。
「好きだ。」
…
ハッキリと聞こえた三文字を、脳が処理した。
「嘘…」
自分の口がそう言っていた。