元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~
-*-2nd Thursday-*-
面と向かって
最近朝早かったあたしは、ここまで混雑している電車に乗るのは久しぶりだった。
電車がガタガタと揺れ動く。
掴めるつり革や柱が周りに無い真ん中の方に立っているので、動かないようにするのに体力を使っている。
正直、学校に行くのが億劫だった。
通勤ラッシュで混雑している電車の中、早くここから脱出したいというのが人々の思いなのだろうが、あたしは違った。
これ以上人が乗り込んで来て、窒息する程電車が混んだとしても、あたしはここにいたかった。
それでも電車は学校の最寄り駅に停まるし、あたしはそこで下りる。
電車がゆっくりと動きを止めた時、あたしは懸命に動いた。
何とかして電車から下りて間もなく、背中にドアの閉まる音を聞く。
鮨詰めの電車は沢山の人を乗せて行ってしまった。
逆に反対車線に電車が到着した。
もうこれに乗って帰ってしまおうかと思った。
あたし一人が一日休んだところで、学校業務に影響はないだろう。
そう考えたが、良心に咎められたあたしは、改札まで歩いたのだった。