元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~
「…滝沢!」
あたしはビクンとした。
「あ、あの…
おはようございます。」
彼の顔をおずおずと見上げると、彼は何かを告げるような目でこちらを見ていた。
表情からは、申し訳ないと思っているが、それでいてあたしを諫めてるような、そんな感じの事が伺えた。
でもすぐにそのメッセージを悟る事が出来なかった。
そんな事を考えながら、あたしは彼についていった。
自分の椅子に座ると、彼は小さな声であたしに言った。
彼に与えられた席は職員室の端っこであり、かつ、隣の席の先生は産休で休んでいる。
だからあたしは、毎日彼の隣で仕事が出来るのだが。
「話したい事がある。」
更に隣に座っている先生や、前にいる少し耳の遠いお爺さんの先生には聞こえないであろう声だった。
今彼の声を聞いているのは、きっとあたしだけだ。
「今日実習が終わってから時間あるか?」
「…はい。
大丈夫です。」
「そうか…
悪いが時間を作ってくれ。
それから…今からは仕事だ。
そんな顔しないでくれ。」