元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~
掃除を終えて、用具入れに箒を戻した時であった。
「どうしたの?」
「今日ってお忙しいですか?」
刹那、あたしは身を強張らせた。
「ごめんなさい。
今日はちょっと予定があって。」
「そうですか…
何時でも構わないんですけど、また相談してもいいですか?」
「勿論。」
「ありがとうございます!」
馬場さんはペコリと頭を下げた。
そして小さな声で言った。
「…滝沢先生、一つ聞いてもいいですか?」
「何?」
「もしかして、彼氏さんとデートですか?」
「え!?
違うよ!」
そう、断じて違う。
「なんだ。
滝沢先生、一瞬ピクッってしたからそうかと思った。」
どうやらあたしは反応を隠しきれなかったらしい。
「全然違うよ。
また別の用事があるだけ。」
北条昴と話があるのだとは言えなかった。
「そっか。
変な事言ってごめんなさい。
さようなら。」
「さようなら!」
馬場さんは教室を出た。