元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~
-*-2nd Friday-*-
虚偽の装飾
「滝沢先生!」
声を聞いただけで分かった。
「どうしたの?」
馬場さんだ。
「今お忙しいですか?」
「大丈夫だよ。
…昨日言ってた事?」
恐る恐るって程ではない。
だけど、不安がそんな聞き方をさせた。
「はい。
でも滝沢先生のご都合が悪ければ…」
「今なら大丈夫よ。」
「ありがとうございます!」
北条昴は現在会議中で、暫くは戻らない。
彼女はその事を知っていて来たに違いない。
あたしは立ち上がる。
きっと他人に聞かれたくない話だろうから。
馬場さんが先に歩いていく。
その背中を眺めながら、あたしは後ろめたさで足を止めそうになった。