元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~
「もしもし?」
「もしもし、妃奈?」
「うん、あたしだよ。
何?
どうしたの?」
「彼氏が電話してきたのに、何?は酷くね?」
「あ、そうだよね。
ごめんごめん。
なんか疲れちゃって。」
そう言った瞬間、性質の悪い鉛が自分の中にどっと流れているような気がした。
「そっか。
お疲れ様。」
「真幸もお疲れ様。
今日は就活?」
「ううん。
大学の方、暫くは研究もちょいちょいしなきゃいけなくてさ。」
「なんか理系の子は大変だね。」
それから少しの間たわいもない会話をした。
いつもみたいな会話だった。
なのにそんな事さえ、体の疲労のせいか疲れてしまう。
「じゃあお休み。
疲れてるのに電話なんかしてごめんな。」
「ううん。
あたしこそごめんね?
真幸だって疲れてるのに。」
「俺の事は気にしないで。
妃奈の声聞いて元気になれたから。
ゆっくり寝ろよ?」
「ありがとう。
お休み。」
あたしは電話を切った。
そして、ふと思ったのだ。
そういえば、電話なんて毎晩してるじゃん。