元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~


こうやってる間にも、沢山の人が駅にやって来る。


勿論、電話して迎えを呼ぶ者もいれば、友人と食事に行く人も少なくなかった。


だけどあたしと北条先生は、話をしながら電車が動くのを待った。


話をすると言っても、殆どあたしが喋っていた。


最近の大学生とはどんなものかを、サークル、バイト、就活、ゼミ、友人関係、恋愛、様々な側面から話した。


勉強になる、そう言って北条先生はひたすら話を聞いてくれた。


自分の時はこうだったと、北条先生が話す時もあったが、少なかった。


あたしは次第に、ずっと話しているのが申し訳なくなってきた。


だが、話の切れ目がなかなか見つからず、長い間話した。


「そういえば、」


途中で北条先生がポツリと言った。


「あの子は何学部?」


「あの子?」


そう聞き返したが、誰のことかは分かった。


< 293 / 410 >

この作品をシェア

pagetop