元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~
「北条先生!」
まさに手渡す瞬間に少女がやってきた。
馬場さんだった。
「おはようございます。」
彼女の目は彼の目をのみを射ていた。
「おはよう。」
「おはよう、馬場さん。」
「…おはようございます。」
馬場さんがこちらに微笑んだ。
「北条先生、今お忙しいですか?」
「今は…滝沢先生、これお願いしていい?」
彼と彼女の視線が一気にこちらに向けられた。
宜しく、托すような瞳と
宜しくお願いします、頼むような瞳。
「はい。
分かりました。
このプリントの纏めですよね?」
「そうそう。
悪いな。」
「ありがとうございます。」
「じゃあ、ここプリントだらけだから、向こうの机でいい?」
「はい。」
それから二人は並んで去っていく。
向こうを向く際、彼女が一度あたしを見た。
鋭いものでは無いが何者をも射ぬくような目線だった。
それはあたしが今までに感じた事の無いものだった。