元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~
暫くして戻ってきた彼は、一人で作業させた事を悪いと思ったのか一言謝った。
「そんなの構いませんよ。
これ、今終わりました。」
「本当にありがとうな。」
彼は柔らかく微笑んだ。
…
この男は実に綺麗に微笑む。
しかも歳を重ねたせいか、大人の色香が少し出て来ている気がする。
一応、知ってる。
彼は生徒を褒める時にいつも微笑む。
その笑顔を一瞬だけでいいから自分だけに向けてほしい、そんな思いで勉学に励む女子生徒は多かった。
彼に自覚があるかは知らないが。
否、きっと自覚は無いな。
あたしは確信出来た。
「ホームルーム行こうか。」
「はい。」
あたしは彼の後ろを歩いた。