元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~


暫くして戻ってきた彼は、一人で作業させた事を悪いと思ったのか一言謝った。


「そんなの構いませんよ。
これ、今終わりました。」


「本当にありがとうな。」


彼は柔らかく微笑んだ。





この男は実に綺麗に微笑む。


しかも歳を重ねたせいか、大人の色香が少し出て来ている気がする。


一応、知ってる。


彼は生徒を褒める時にいつも微笑む。


その笑顔を一瞬だけでいいから自分だけに向けてほしい、そんな思いで勉学に励む女子生徒は多かった。


彼に自覚があるかは知らないが。


否、きっと自覚は無いな。


あたしは確信出来た。


「ホームルーム行こうか。」


「はい。」


あたしは彼の後ろを歩いた。


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