元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~
俺は黙ったまま色んな事を考えた。
北条も何も言わなかった。
ただ隣に立ってるだけだ。
段々と申し訳なくなってくる。
「…仕事して下さい。」
「仕事してる。」
「え?」
「生徒の話を聞くって立派な仕事だぞ?」
「でも…滝沢さん、先生を待ってると思いますよ。
仕事出来ずに一時間近くも。」
放課後、滝沢さんが職員室に戻る前に北条を連れ出したんだ。
多分、何するか分からずに時間をもて余したに違いない。
「滝沢は滝沢の仕事してたじゃねえか。」
「…本当にそれって仕事になるんですか?」
「ああ、立派な仕事だ。」
違うと思うけど、もう返す気力もない。
もう何もしたくない。
でも何かしたい。
矛盾した気持ちが体を固めていた。