元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~
顔ぐらい見たり、話しかけてみたりして確認すべきだったかもしれない。
多分、普通の人ならそうするだろう。
でもあの時の俺は冷静に物事を考えられなかった。
駅までノンストップで走った。
それから電車に乗って、駅に着いたらまた走った。
家に着くなり、自分の部屋に飛び込んで、引き出しの中を漁る。
それを見付けた瞬間、春なのに汗びっしょりの自分に気付いた。
だが全く気にせず、食い入るようにそれを見た。
馬場ちゃんからの年賀状だった。
幼稚園の時に貰ったものだ。
彼女の名前が印刷されたそれを見て、俺は床に座り込んだ。
今思うと甚だおかしい。
同姓同名の可能性の方が高いくらいなのだ。
なのに顔さえ見なかった少女を初恋の人だと決めつけて、運命だと思った。