元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~
「疲れた?」
授業が終わってすぐに、彼はあたしに尋ねた。
「いいえ。
ちょっと考え事してただけです。」
「悩み事?」
「悩み事…
そうな気もしますけど、違う気もします。」
「俺で良かったら話聞くけど?」
「大丈夫です。
ありがとうございます。」
今ここで聞いてしまっても良かったのだが、それではいけないと云う思いがあった。
最終的に見つけ出せるかは分からないが、自力で探すからこそ成長出来るのではないか。
「なら、良いんだけど。」
あたしは笑って見せた。
今あたしが考える事を彼に悟られてはいけない。
気付いた瞬間に、彼はヒントを出すだろう。
そうすれば嫌でもあたしはその事に気付かされる。
今日もあと一時間か…
猶予の時間はまた減っていく。