元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~


「疲れた?」


授業が終わってすぐに、彼はあたしに尋ねた。


「いいえ。
ちょっと考え事してただけです。」


「悩み事?」


「悩み事…
そうな気もしますけど、違う気もします。」


「俺で良かったら話聞くけど?」


「大丈夫です。
ありがとうございます。」


今ここで聞いてしまっても良かったのだが、それではいけないと云う思いがあった。


最終的に見つけ出せるかは分からないが、自力で探すからこそ成長出来るのではないか。


「なら、良いんだけど。」


あたしは笑って見せた。


今あたしが考える事を彼に悟られてはいけない。


気付いた瞬間に、彼はヒントを出すだろう。


そうすれば嫌でもあたしはその事に気付かされる。


今日もあと一時間か…


猶予の時間はまた減っていく。


< 33 / 410 >

この作品をシェア

pagetop