元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~



学校とは、同じ日々の繰り返しである。


時間割の内容、休み時間に廊下に出る人の数、昼食の献立、何もかも違うように思える。


だが、朝にホームルームがあり、勉強と休憩を繰り返し、最後にまたホームルームが行われる。


自分が高校生の頃はそうは思わなかったが、教育実習に来て二日経ち、何となくそう思った。


そして、ただ今本日の終礼が終わった。


立ち上がり、帰る用意やら掃除やらと慌ただしく立つ生徒達を見た。


あたしはまだこの教室にいる子の名前を覚えきれていない。


分かる人の数を数えると、三分の一程度である。


「滝沢先生!」


1番始めに名前を覚えた子が来た。


「馬場さん、どうしたの?」


「昨日の続き、聞きたいなって思って。」


確か昨日は、あたしの英語の勉強の仕方の話を二人でしていて、途中で終わったのだった。


でも残念なことに、あたしは彼に呼ばれていた。


あたしはそれを彼女に伝えた。


「じゃあ今度、滝沢先生が空いてる時にでもまた教えて下さいね!
あたし、今日はあんまり残れないんで!」


さようなら、そう言って馬場さんは自分の席にある荷物を手に教室を出る。


この一連の動きの中で、朝のような彼女の視線は感じられなかった。


見られたのは、昨日の夕方に彼女と二人で話している時に見た優しい彼女の笑顔だけだった。

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