元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~
―――放課後
掃除が終わった教室には西日が差していた。
オレンジの光が教室内を包むも、茶色の床や机は昼と同じ色だ。
「お待たせ。」
磐井が現れたのは、時計の長針が真上を向く午後五時だった。
磐井はあたしが座っている席の斜め前に立つ。
もう他の生徒は帰ってしまっていて、ここには磐井とあたししかいない。
幸か不幸かは分からないが。
「話って?」
「ごめん。」
「え?」
「馬場ちゃんの嫌がる事したから。」
「まさか…」
「誰にも話してないからそれは安心して。
俺が謝りたいのは、馬場ちゃんに不必要な事言って不安にさせた事。
本当にごめん。」
磐井は頭を下げた。
「…本当に、誰にも言ってない?」