元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~
辿り着く先
昨日までとは違い、今日は殆ど授業を見ているだけだった。
当たり前だが、あたしが四苦八苦してやった授業に比べたら、断然負ける。
比べる事がそもそもおかしいが、それでも昨日までの事を考えると、反省点は見えてくる。
もっと頑張らなきゃ。
更なる精進に決意を固める。
毎回の授業の終わりには、あたしが一言挨拶した。
挨拶と言っても、ありきたりな事しか言えない。
自分が未熟者である証拠だ。
しかもそんなあたしの話を、皆は真面目に聞いてくれるから、申し訳ない。
そんな事を四回繰り返した。
だが、それで終わりではない。
「滝沢がホームルームに出るのも今日でおしまいか。」
後一回、挨拶する場は残っている。
「そうなりますね。」
「せっかくクラスにも溶け込んだのにな。」
「溶け込めてましたか?」
「ああ。
すっかりクラスの一員になってたぞ。
皆も滝沢に懐いてるし、滝沢も全員の顔と名前覚えて、仲良くしてたじゃねえか。」