元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~
自分が言った固有名詞の意味に気付いたのはその直ぐ後だった。
「…ごめんなさい!」
相手の顔なんか見れるわけがなかった。
睡魔に負けた情けない自分を悔やんだ。
「…いや、いいよ。
気にしなくていいから。」
電車が音を立てて速度を落としていく。
次に耳にしたのは到着を知らせる効果音だった。
そのまま電車から降り、何も話さずに改札を通る。
そうだ、同じ駅だった。
随分と昔に思える記憶がどんどん蘇ってくる。
あたしの家はここから南に歩いて約15分。
彼は北に20分強。
だからもうここでお別れだ。
あたしは胸を撫で下ろした。