元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~
「なんかさ、また高校生してるみたいだよね。」
束の間の休憩に、阿紗子があたしが思ってたのと同じ事を言う。
「本当に。
久々にこんな格好してたらさ、色んな事思い出すよね。」
「高三の時に棒高跳びで、飛び越えるどころか棒に真っ直ぐ飛び込んだ事とか?」
「もう、それは言わないでよ。
結構痛かったんだからね!」
「分かってるよ。
棒に顔面直撃してたもん。
痛くて当然!」
「阿紗子!」
記憶から抹消したはずの思い出が、鮮明に思い出される。
鼻が棒に直撃し、あたしはそのままマットに倒れ込んだ。
確かあの後は、みやびちゃんと阿紗子が保健室に連れて行ってくれた。
最初に戸田が自分が連れて行くと言ったらしいが、二人のおかげで痛み以上の悲劇は回避されたのだった。
そうこう思い出しているうちに休憩時間が終わり、あたし達はまた手伝いを開始する。
次の仕事が、これまた重い物を運ぶので大変だった。
しかも人数上一人で運ばないといけないやつで大変だった。
周りの体育会系の男の子達はスタスタと運んでいくが、あたしはかなり遅れを取っていた。
阿紗子が他の仕事でいないため、尚更である。