元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~
「というわけ。」
「そんなのでわざわざ帰って来ないでよ。」
話すつもりなんてなかったが、言い訳しきる事が出来なかった。
結局あたしは正直に話したのだ。
出て行って間もなく帰ってきたあたしの前に現れたみやびちゃんは怖かった。
鍵を閉めて靴を脱いで、もう一度家の中を見た時、みやびちゃんは包丁を持っていた。
「だってこんなに早く帰って来るなんて思ってなかったんだもん。」
「そりゃそうだけど。」
無いとは思うが、もしも帰ってきたのがお父さんだったら一体どうなっていただろうか。
「でもさ…」
「?」
「ありがとう。」
みやびちゃんは俯いて言った。
「家に入ってきたのが妃奈ちゃんで、本当はホッとしたの。
その…変な人じゃなかったからとか、そんなんじゃないよ。
妃奈ちゃんが帰って来てくれたのが嬉しかったの。」
みやびちゃんは顔を上げてそう言った。