桜姫紀
「え・・・?」

「お。おーい、桜が目を覚ましたぞ!」

気がつくと私は布団で寝かされていた。

「竜さん・・?」

「ったく、なーんか上で音がすると思ったら驚いたぜ?
2人共倒れてて、1人変な男がいたし。」

そうだ、葵さん!

「葵さんは!?」

「だーいじょうぶ。薬飲ませて、よくなってる。」

良かった・・。
そう聞くと力が抜けてきた。

「それにしてもお前骨折り損だったな。」

「え?」

「葵から事情は聞いたよ。
あの男が持ってたのは解毒剤じゃなくて劇薬。
最初っからお前をだますつもりだったんだな。」

・・・・・・・・・。
何かすごく悲しい・・。
全部水の泡じゃん・・。

「でも、すごいな。」

「え・・・?」

「よくあそこで逃げ出さなかったっつこと。しかも倒せて。」

「なんか・・その・・無我夢中で。」

フッと竜さんが笑った。

「桜さん!」

パーンと襖が開いて葵さんがかけよってきた。
矢が刺さった腕には包帯が巻かれている。

「あっ、葵さん!?具合は・・!?」

「私より桜さんの方が重症だったんですよ!?」

え、そうなの?
ちら、と竜さんを見るとうなずいて肯定された。

「ごめんなさい、私のせいで・・・。」

しゅんと、葵さんが落ち込む。

「いえいえ!!葵さんのせいじゃないですから!
気にしないでください!」

私が言った言葉に葵さんの瞳が揺れた。

「似てる・・・。」

つぶやきのような、葵sんの言葉。
似てるって・・・?

「あの・・?」

「・・ごめん、竜。」

「んぁ?」

「ちょっと2人きりにさせてくれないかな。」

その目は強い意思で満ち溢れていて。
竜さんも黙って出て行った。

「あの・・?葵さん・・?」

「・・桜さんには知ってほしいんです」


ーーーーー私の過去のことを。

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