桜姫紀
運命の先は見えなくて
第1章 運命の先は見えなくて
真の国・城内
「・・・では、頼んだぞ。」
「・・・はい。」
そういうと満足そうに叔父上は去っていく。
ぎゅっ、と着物の袖に隠していた小刀を掴み取る。
柄を抜けば銀色の刃が出る。
光が刃に反射して光り輝く。
これを、喉に持っていけば・・・・。
今まで辛いことばかり。
父上と母上が亡くなってから、父上の弟の叔父上の言いなりだ。
そして今日・・・・・。
私が剛の国へ人質に出されることに決まった。
人質。
毎日怯えながら暮らす。
そして、人質となると二度と祖国の地を踏むことはない。
自由もなければ希望も、夢さえ持てない。
人に会うことすらできない。
そんなんで人生過ごすなんて嫌だ。
死んだ方がいい。そうすれば楽になれる。
この苦しみから解放される。
目をつぶった。
怖くはない。
私は解放されるのだから。
黙って、小刀を自分に向けて刺した。