桜姫紀
「では、また。」

「あぁ。」

「じゃあね、葵ちゃん。」

私は挨拶の変わりに大きく頷いた。



「あのお姉ちゃんすっごいね!」

あの微笑を見ると、なんだか嫌な気持ちがすぅ、と引いた。

「なぁ、葵。」

お兄ちゃんから話しかけてくるなんて珍しいな。

「なーにー?」

「もし、もし俺が・・・・。」

そこでお兄ちゃんは言葉を切った。
辛そうな顔をしていたのも知らずに、私は

「どーしたのー?」

「なんでもない。」

お兄ちゃん・・?
今日のお兄ちゃんなんか変だよ・・・?

「なぁ、葵。」

「んー?」

「星を・・・見に行かないか?」
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