桜姫紀
「じゃあいってくる。」

「うん、いってらっしゃい・・。」

結局それだけ伝えるとお兄ちゃんはまた仕事に戻った。
どうやらこのことだけを伝えるために帰ってきたらしい。

「・・っ、うぇ・・。」

どうして?
私、自分の兄に恋心なんて持ってるの?
どうして?
私お兄ちゃんと兄弟という形で生まれたの?
どうしてどうしてどうして・・・!?
あぁ涙で瞼がくっついちゃうよ。
悔しいよ・・・。

花がいくら頑張ったて鳥にはなれないのと同じ。
私がいくら頑張ったって蝶さんのようにはなれないんだーーー。

「葵ちゃん?」

「え・・?」

目の前にいたのは、蝶さんだった。


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