桜姫紀
「暇そうだな。」

「あ、秋人さん。」

ぼけぇ、と木に座り空を見ていた私を俊さんが声をかけた。

「自主練習でもすればいいじゃないか?」

「それは、そうなんですけど・・・。
碌さんが勝手に一人で練習するのを禁止してるんですよ。」

「・・・碌はらしいちゃっ、らしいなぁ。」

「?」

なんでもない、と俊さんがつぶやき私の隣に座った。

「秋人さんって美形ですよね~・・・。」

「はぁ?」

長いまつげに整った顔。
同じ人間としてうらやましすぎるんですけど!

「っていうか夜行内って美形しかいませんよね。
焔さんや碌さん、俊さんや竜さんも美形ですし・・・。
瑠衣さんや雫さんや葵さんもかわいいですし。」

あれ、よく考えれば自分だけ変な顔じゃん。
・・・悲しい。

「・・・俺、無自覚とは恐ろしいという言葉の意味を今知ったよ。」

「はい?」

「・・・なんでもない。」

そして、ため息を一つ。
なんかなんでもないが多いよ、秋人さん!



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