桜姫紀
「俺は、お前が一番かわいいと思うぞ。」

そういう秋人さんの顔は真っ赤。
お世辞はうれしいですけど、照れないでくださいよ・・・。

「秋人さん!」

「?・・うわ!?」

がばっ、と秋人さんに抱きついた。
おぉ、暖かい。

「私、秋人さんのこと大好きですよ!」

・・・あれ。
なんか急に暖かったはずの秋人さんの体が・・・。

「あ・き・と・く・ん?」

見上げると鬼の形相をした焔さん。
怖いです!笑ってるんだけど目が笑ってないです!

「桜も離れようなー。」

「え、あの・・。」

「離れような?」

「・・はい。」

何なの、めちゃくちゃ怖いですよ、焔さん!!
私が離れた瞬間、焔さんが秋人さんをがしっ、と掴んだ。

「ちょっ、焔!」

「ほっ、焔さん!?」

「いや、桜が心配することじゃないって。
秋人はちょーっと旅がしたいらしいんだ。
かるーく、黄泉の国へ。」

爽やかな笑顔で言うことじゃないですぅぅ!!

「いや、本当にやめましょう!!」

「じゃあ今度二人でどこか行けるよな。つか、行くよな?」

「いきます、なんかよくわかりませんが行きますから!」

そういうと、焔さんが秋人さんを離した。
あー・・心臓に悪い。

「あ、ごめんな。秋人。むしゃくしゃしてやった。」

「むしゃくしゃって何んだよ・・。
焔にも桜は渡せねーからな。」

「は、やってみろ。」

・・・空気が重いです。








< 40 / 73 >

この作品をシェア

pagetop