桜姫紀
森の中を駆けていた。
知らなかったんだけど、この森ってちょうど真の国・剛の国・翠の国
3ヶ国の分かれ目なんだって。
「・・お前は無闇やたらに戦うな。」
横に走っている俊さんが声をかける。
「え?」
「かえって、足手まといになるだけだからな。」
・・・・・。
そりゃ、わかってますけど・・・・。
「お前は敵にあまり素顔を見せるな。」
「・・・え?」
「危険、だ。」
私はその時には俊さんの言葉の意味がよくわからなかった。