桜姫紀
桜の姫・・・?
確かに名前は桜だけど・・・。
そういえば、あの呪術師も桜の姫って・・。

「古来より、桜の姫は神と祭られた。」

いつの間にか来たのか呪術師が私のふもとに来て言った。

「桜の姫はいわば、その存在が神。

桜の姫の生き血を飲めば、どんな不治の病も治る。」

「桜の姫の瞳を手に入れれば、不老不死が望める。」

「桜の姫の涙を手に入れれば、富や名誉が思うまま。」


「桜の姫は最初、髪や瞳全てが淡い桃色だったらしいわ。」


私の髪や瞳は全て黒。他の人と変わらない。

「だけど、それだと誰が桜の姫かすぐわかっちゃうでしょ。
だから、普通の人と変わらないようにしたの。」

身を乗り出して、蝶が言った。
だから、何?

「桜の姫は、1000年に一度生まれるか生まれないかわからないほど貴重じゃ。」

・・・・。
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