桜姫紀
「さぁ、桜の姫ということもわかったことだし、
その瞳をくださいな。」

ぞくっ、と悪寒が走った。
狂ってる。
この人は狂ってる・・・・。

そして、私の瞳の前に小刀を突きつけた。

「瞳の次は血ね。あら、でも涙も必要だわ。」

ふふ、と狂気的な笑みを私に向けた。

「お主・・・わかってると思うが・・・。」

「あら、もちろん、ちゃんと取り分はとっておきますよ?」

「・・・ならいいが。」

そして、再び私に向き直った。

「これをね、今から刺すの。わかる?刺して目玉をほじくりだす。
そして、貴方は目が見えなくなり盲目となる・・。
その次は腕を刺すの。
腕がつかえなくなるほどにね・・・。」

あぁ、この人は私を恐怖に落としたいんだ。
そして、涙を流させたいんだ。
絶対に泣くもんか。

理屈では、頭の中ではわかってるのに・・・。

体はがたがた震えが・・・止まらない。
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