桜姫紀
あれから隠れ家に戻る途中私は碌さんにおぶってもらってた。

「あの・・・葵さん。」

「え?」

「えと、その・・・。」

あの女の人が蝶さんだということを・・・伝えるべき?
そうしたら確かに葵さんの罪悪感はなくなるけど・・。
でも今まで信じてたものに裏切られることになる・・。

「あの女の人のことですか?」

「え・・!?」

「ふふ、顔に書いてありますよ。」

二コリと笑いながら言った。

「あ、言っとくがアイツは蝶さんじゃねーぞ。」

・・・・・・・・は?

「え、あの人蝶さんって名乗ったんですか?
うわぁ、もっと痛みつけておくべきでした。」

「すっすみません意味がわからないのですが・・・。」

「あれは偽者。大方、桜を惑わせるためにそういったんだろう。」

なんですか、その悲しいの。

「そういえばお前、前もだまされてたよな。」

・・・・・・・・・。
私はだまされやすいのかな?

「まぁ、鈍感だしなー。」

そういう竜さんの言葉に

「私、敏感肌ですよ?」

と答えておくとめちゃくちゃ呆れられた。
うん、なぜ?

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