桜姫紀
「まぁいいや。君、今暇?」

「え?いえ、人待ってるんで・・・。」

あれ、席どけとかそういうのじゃないの?

「そうか・・。その人は恋人?」

え、何でそこまでしゃべらなきゃいけないの。
少し警戒心を出した私に気づいたのか、男の人は困ったように笑った。

「その様子だと恋人ではないようだね。」

うん、まぁ恋人ではない。
って、なんでそこまで気にするんだろう?

「良かったら、俺とどこか行かない?」

「すみませんけど・・・人、待ってるんで。」

するとガシッ、と腕を掴まれた。
・・へ?

「恋人じゃないならいーじゃん。遊ぼうよ。」

ニヤリ、と男の人が笑う。
なんか、しつこくない!?

「だから!人待ってるんで!!」

強く叫んでも効果なし。
というか腕は掴んだまま。

いや、じゃあやんわり断ってみよう。

「はっ、離してください。貴方の相手をしてるほど私暇じゃないんです。」

あれ、これまったくやんわりじゃないよね・・・。
ちら、と顔をあげればうわ、すごい怒ってるよ。

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