桜姫紀
「へぇ・・?こっちが下手に出ればいい気になりやがって。」

がしっ、と掴んでいる腕の力が強まる。
真面目に痛い。
もう相手に気遣ってる場合じゃないよね。

腕を振り払おうとした、その時だった。

「ちょっと?私の親友に何してんのよ。」

え・・・、この声って・・・。
特徴的な少しはねた髪。気が強い、勝気な声。

「霞・・・!!」

「は?誰だよお前。」

「この子の親友!言っとくけどいいの?ここにいて。
今、奉行の人呼んできたけど。」

挑戦的な霞の言葉。

「ちっ・・・。」

舌打ちだけ残すと男の人は去っていった。
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