枯れた瞳。
箕輪先生は,これからの中学校生活の話を始め一通り終わると,机や椅子に貼る,名前のシールを配った。

はあ…。めんどくさいなぁ…。
あたしは,独り言のように心で呟いた。

『ねえ!このシール,どこに貼るの?』

前に座っていた,男の子の声…。

いいなあ…。
仲良くなるの早くて…。てゆーか,羨ましい…。 気軽に人に話し掛けられて……。

『ねえ!…聞いてる?』

あたしは,肩をぽんッと軽く叩かれた。
えっ?あたし……?

振り向くと,見るからにあたしより小さい身長で,可愛い二重の目で上を見上げてる男の子…。

「…え?あたしに言ったの?」

『他に誰が居るの?』
「……はあ。机と椅子に貼ればいんじゃないの?」

『だから,机のドコに貼るの?って聞いてるのッ!!』

「………。話聞いてなかったの?」

『うん。だから聞いてるんでしょッ?』

「机の真ん中に貼れば,いんじゃないの?あたしも,よく分かんない…」

『そっか!とりあえず,ありがとう。』

これが,浅川 洋汰(あさかわ,ようた)との出会いと初めて交わした,会話…。
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