あの日の僕ら
「ま、待ってよ!桜ぁ!!」
私は そんな桜を追いかける。
そして直と優もソレに続く。

桜の木には一本一本番号が ふってある。最初は1から 始まって。
今は そうとう歩いたので90本目だ。
ここらへんに なるとそろそろ人も居なくて十分ここでも食べれるのに桜はかまわず先に進んで行く。
「さ、桜っ?どこまで行くのぉ~」
私はさすがに桜に声をかけた。
「まーだっ!」
桜は元気にそう言うと またさっきまでのように歩きはじめた。
98・・・99・・・100!!
ついに100本目の桜に出会った。
もう さっきまでのざわつきはなく、とても静かで 私達しかいない。
「ここで食べるの?」
直は わくわくして聞くのだが・・・
「まだッ!!」
桜はニッと笑ってまだ先に進んで行く。

私達はガクッと肩を落とし 一人元気に進んでゆく桜の後ろでゆっくりと歩いていた。
今度は 振り返っても100本目の桜が見えなくなったころ・・・
「ついたよ!」
と言う桜の言葉で 今まで俯いていた私達の顔が上がる。
「えっ・・・!」
「凄ッ!」
「すっげぇー!!」
私達3人は とても驚いた。
100本目の桜はとうに過ぎたハズなのに 目の前には数十本の桜の景色が広がっていた。
もちろん ここには私達しかいない。
そして 何故か桜の前に噴水が置いてある。
「ここ。素敵でしょ?」
桜は私たちにとびっきりの笑顔で言った。
それこそまるで ここにある桜みたいに綺麗だった。
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