僕タチの旅

昼休みになって、ベランダに出ると、真夏の太陽が照りつけていた。


空には雲一つない。


似てる。
あの日の空に。


私と速人が始まった日の空に…。







――2年前――

高一の夏。

私は学級委員をやっていて、先生のところにプリントを届ける途中だった。




非常階段の前を通るとき、太陽に焼けたうっすら茶色の髪が見えた。


唐沢速人。

隣のクラスの陸上部の人。



朝、早めに登校して学級委員の仕事をしながら、校庭を眺めると、いつも彼は練習していた。

きれいなフォームで走るな。
そう思って見てた。


この日まで、私にとっての速人の存在はこの程度だった。
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