僕タチの旅
昼飯を食べおわると俺は非常階段に向かった。
めったに人が来なくて、すごく気に入っている。
階段に座ると、少しひんやりしていて気持ちがいい。
ここに来ると、いつも思い出す。
俺は二年前、ここで藍に告白した。
ここが俺たちの始まりの場所なんだ…。
――二年前の春――
真新しい黒の制服に、舞い散る桜のピンクが映える。
少し顔を上気させた新入生の中で、俺は一際冷めた顔をしていただろう。
俺は、もともとこの高校を志望してたわけじゃない。
県外のスポーツ科のある高校に進学するつもりだった。
でも、秋口になって届いたこの高校からの推薦の話。
親も先生も喜んだ。
この高校は名の知れた進学校。
地元じゃ誰もがすごいと認める優等生学校。