僕タチの旅
そんな理由で入学したから、正直、この高校に興味なんかない訳で。
早く卒業したい。
なんて入学式から考えてた。
入学式が始まるとお決まりの、校長の話、校歌の斉唱、歓迎のことば…
長くていらいらしだしたころに始まった新入生代表あいさつ。
今年の入試首席のヤツが読むらしい。
きっと、俺なんかとは別世界に生きてるヤツなんだろうな。
そう思って顔を上げると、壇上にはきれいな女の子が立っていた。
俺は金縛りにでもあったみたいに彼女から目が離せなくて、
それと同時に体のなかが熱くなった。
一目惚れだった。
しかも、恥ずかしながら俺の初恋。
陸上にしか興味がない陸上馬鹿の俺が、初めて、普通の高校生らしい感情を知った瞬間だった。