僕タチの旅
でも、最初は忘れようと思ったんだ。こんな気持ち。
俺の所属する陸上部は男女交際禁止で、俺が陸上を続けるかぎり彼女と付き合える可能性すらない。
それに藍はもてた。
きれいで、頭が良くて、しっかり者で、男女問わず人気があった。
そんな感じだったから、藍とそう簡単に話が出来る訳もなく、遠くから彼女を見つめるだけで数か月が過ぎてしまった。
そんなある日。
朝練をしているときに気付いたんだ。
藍が教室から外を眺めてるのに。
気付いた日から俺は毎朝、藍のいる教室を眺めてた。
毎朝、教室にはいるらしいけど、窓際にこない日もあった。
その日は気分が乗らなかった。
逆に藍が窓際にいる日は、藍は俺を見てるわけじゃないのに、やけに張り切ったりもした。