僕タチの旅
気が付いたときには、保健室のベッドの上で、春陽が心配そうに覗き込んでいた。
「平気?気分悪くない?」
私が微笑むと、春陽は安心したように笑って、
「良かった。あとで唐沢くんにお礼いいなね?」
と言った。
『なんで…?唐沢くん…?』
私の声は震えてたと思う。
「覚えてない?藍のこと保健室まで唐沢くんが抱えて運んでくれたんだよ。」
それを聞いた瞬間、私は駆け出してた。
春陽が何か叫んでたけど、吹っ切って駆け出してた。
たた、速人に会いたくて。
陸上部の部室に向かって走っていた。
私のこと嫌いになったんじゃないの?
私、速人のこと好きでいてもいいの?
そんなことばかりが頭に浮かんでくる。
部室に行くなんて、なんて迷惑な女。
ねぇ。
でも、今じゃなきゃ駄目な気がしたの。
今、伝えなきゃ一生伝わらない気がしたの。