僕タチの旅
部室に着くと、ちょうど部員が帰ってきたところだった。
その中から速人が現われで、私を見ると大きく目を見開いた。
やっぱり迷惑だよね。
マネージャーさんだっているのに、私といるところなんか見られたくないよね?
その場を離れようとすると、速人に腕を捕まれて校庭の隅に連れていかれた。
「早瀬、なんでここに?気分平…」
『どうして私を運んだの?』
私は速人を遮るように言った。優しい言葉なんかかけて欲しくなかったの。
『私のこと嫌いになったんじゃないの?』
「そんなことあるわけないじゃん!」
『だって最近無視するし、マネージャーさんと仲いいって…』
速人がびっくりしたように私を見る。
そりゃそうだよね。
付き合ってもない女にこんなこと言われても困るよね。
だけど、速人の口から出た言葉は私の思ってたものとは違ってた。
「最近、早瀬に声かけなかったのは、部内で俺と早瀬が仲いいって噂になってたからだよ。
早瀬に迷惑かけたくなくて、無視してたんだ。ごめんな。
あと、マネージャーは、俺の幼なじみだから。好きとかじゃないし。」
そう言って笑う速人を見ると、今まで押さえてた思いが溢れて、
『好き…。』
自然と言ってしまってた。